私は今、ファインダーを通して切替優太という一人の人物を追いかけている。
小・中学校の同級生で良き友人でもある彼はレーシングドライバー。
大学卒業後、22歳でサーキットデビューし、国内の様々なレースで優勝、
入賞し、現在もフォーミュラー4で活躍している。
私は彼のレースを観戦する機会があった。
その時、ドライバー１人だけでなく、メカニック、ピットマン、チームに
関わる全ての人が、勝利を信じてひた向きに取り組んでいる姿を見て、
私の中で「カチッ」とスイッチが入った。
「彼の姿を撮り続けてみよう」
私は自分の白黒写真の力を信じる気持ちを、彼のレースにかける真剣な
姿に投影して、彼の夢と私の夢を作品で表現する決意した。
それ以来、彼のレースの度にサーキットに出かけ、
無我夢中でシャッターを切る日々が続いている。
私の周囲も変化した。一緒に彼の応援に行った同級生の仲間で、
彼の応援団『Club優太』を結成した。彼の夢を一緒に追いかけ、
自分達も成長していく活動を誓いあった。
私自身にも目標ができた。それは3年後に彼をモチーフにした
個展を開くことと、写真集を出版すること。
今はまだ走りはじまたばかりだけれど、3年後、きっといい形にできると思う。
そんな根拠はないが、確かな自信をもって、私はまたサーキットにむかう。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　仲 澤 章 浩